ノートパソコン用CPU性能比較表・選び方
CPUはパソコン作業の快適さを決める上で最も重要なパーツであるが、選ぶのも非常に難しい。
- 「同じCore i5なのに複数の種類があり、どれを選べば良いのか分からない」
- 「自分にあったCPUを探しているが、後ろに数字や記号が付いていて何をどう比較すれば良いのやら」
と思う人は多いはず。
実際私も最初に購入したノートパソコンはCore i5のCPUが搭載されていて、「Core i5なら大丈夫だろう!」と思っていたが2世代前(=最新から2年遅れた)のCPUであった事が判明して、十分な速度を得られぬまま次の買替まで我慢したという経験がある。
このようなミスを避け、初心者であっても自分にあったノートパソコン向けCPUを納得して決められるようにすることが本ページのゴールである。デスクトップを含めてCPUを比較したい場合は本家CPU性能比較表を参照してほしい。
この記事の目次
- 型番の読み方を知り、大まかな性能と用途を明確にする
- シリーズ - 価格帯別CPUの種類
- 世代 - 年単位の大きな改善
- マイナーモデルナンバー - 地味な改善
- 末尾の意味 - CPUの用途等を表す文字
- ノートパソコン向けCPU性能比較表
型番の読み方を知り、大まかな性能と用途を明確にする
CPU選びの基本はまず型番を理解すること。すなわちCore i5 1360Pならば、それぞれの数値や記号が何を表しているのかを理解することである。
型番を読み解くことでどちらのCPUが性能が高いか?どういった用途で開発されたCPUかということが分かるようになる。
型番はシリーズ、世代、マイナーモデルナンバー、末尾の文字に分解できるが、それぞれについて解説していく。
シリーズ - 価格帯別CPUの種類
パソコン用のCPUを販売している会社はインテルとAMDという2社しかない。インテルは主にCore iシリーズ、AMDはRyzenというシリーズがそれぞれ主力である。
価格帯別にCPUのシリーズを並べてみた。上に書いてあるものほど高性能なCPUである。
CPUのシリーズ | Intel | AMD |
---|
ハイエンド | Core i9 | Ryzen 9 |
Core i7 | Ryzen 7 |
ミドルエンド | Core i5 | Ryzen 5 |
Core i3 | Ryzen 3 |
ローエンド | Pentium | Athlon |
Celeron | A12,A10,A8,A6 |
またIntelの新世代CPUとしてCore Ultra 9, Core Ultra 7, Core Ultra 5が発売されておりiが消えているが、シリーズの付け方としてはCore iシリーズと同等である。
世代 - 年単位の大きな改善
CPUはおおよそ年単位で大規模にアーキテクチャ(設計)が改善され、新モデルとして発売される。この年単位の改善ごとにCPUの世代が上がっていく。
つまり世代はほぼ毎年改善されるCPUアーキテクチャが現在何代目かを示し、値が大きいほど最新で高性能である。
ただしCore Ultraなどiが名称に含まれないものはiシリーズよりも常に新しいことに注意したい。
世代はCPUの型番で、シリーズ名に続く数字の最初の1文字、あるいは2文字で表される、例を上げると次のとおりである。
Coreシリーズ/Ryzenの世代の例
Core i7 9750H・・・第9世代Intel CPU ゲーミングノート向けCore i5 1255U・・・第12世代Intel CPU、低消費電力モデルCore i5 1360P・・・第13世代Intel CPU、グラフィック強化版Core Ultra 9 185H・・・新第1世代Intel CPU、ハイエンドモデルRyzen 7 7736U・・・第7世代AMD CPU、低消費電力版マイナーモデルナンバー - 地味な改善
シリーズ名に続く数字のお尻3文字がマイナーモデルナンバーである。世代間ほどの違いはないものの、モデルナンバーが大きいと性能が多少アップする。
たとえば1340Pと比べると1350Pは僅かながら性能がアップしている。ただ、後述するベンチマークでも差があまり見られないものは多く、場合によっては統計的な不正確さによりモデルナンバーの数値が大きいものが小さいものに負けていることもある。
少なくとも大きな違いは無いことは見て取れるだろう。
末尾の意味 - CPUの用途等を表す文字
最後に末尾のアルファベット文字はCPUの用途を表す、これを見るとパソコンがどのような特徴を備えているのかすぐに分かる。Intel、AMDの末尾の意味は下記のようになる。まずはIntelから。
Intel CPUの末尾文字
HK・・・ハイパフォーマンス、限界を超えて性能を出せるオーバークロックに対応H・・・ハイパフォーマンス、ゲーミングノートに主に使われるP・・・ハイパフォーマンスと低消費電力を両立したバランスの良いモデルで12世代から登場G・・・内蔵グラフィック強化版・Adobeなどの動画像編集やゲームで有利T・・・低消費電力版、ノートパソコンや小型デスクトップに使われる、スペック高めU・・・15Wウルトラ低消費電力版、事務作業に最適でバッテリー寿命も長いY・・・5Wの超・超・低消費電力版。パワーは弱い、ライトユーザ向け次にAMD、Intelとよく似た感じである。
AMD CPUの末尾文字
H・・・ノート用ハイパフォーマンス Intelと同様GE・・・内蔵グラフィック強化版、低消費電力版U・・・ウルトラ低消費電力版、Intelと同様この表を俯瞰することで、「Excelなど事務作業中心だからHは向いていないな」とか、「このCPUならバッテリー寿命は長そうだな」など判断の基準ができることだろう。
ノートパソコン向けCPU性能比較表
型番の読み方は分かったと思う。しかし型番を理解しただけでは比較対象のCPUで、どちらがどれぐらい能力が高いかという性能差の大きさは分からない。
そこでベンチマークというCPUの絶対性能を数値化してくれる物差しが複数社で提供されている。
ベンチマークだけを見れば良いのではと思うかもしれないが、ベンチマークの統計的な信頼性はやや低く、また、測る指標が自分の用途と完全に一致するわけではない。
よって型番とベンチマークを両方見て、自分にあったCPUを見つけることが最良の選択肢となるだろう。
これから紹介するCPU性能比較表の補足事項を下記にまとめておいたので、表の意味が良く分からない人は参考にして欲しい。
PassMarkについて+
PassMarkは重い計算処理を回す、動画のレンダリングを行うなど、CPUが様々な使われ方をされた場合の総合的な性能を評価している。この値が高いほどCPUが総合的に高速であるといえる。
当サイトではCPUの全てのコアを使用した総合的な性能であるPassMark(M)と一つのみを用いたPassMark(S)のスコアを併記している。Mはマルチコアの略であり、Sはシングルコアの略である。それぞれの特徴は下記の用になる。
有利なコア | 具体的なタスク |
---|
シングルコア | アプリの起動、Webブラウジングのサクサク感、ゲーム |
マルチコア | 複数アプリの同時実行、ファイルの解凍・圧縮、動画のエンコード・デコード、AI処理、画像のレンダリング |
スコアは毎年新規のCPUが出るたびに少しずつ上がるが、スコア自体が何を意味するかというものではない。新旧世代の製品や、シリーズ違いの相対比較に用いるのが良い。
なお、ソースとしてPassMarkの値は下記を参照している。
CPU性能比較表の読み方。注意・注目点+
この比較表では、CPU名、ベンチマークスコア、TDP、コア数、スレッド数等の項目が載っているが、それぞれについて注意点を簡単に掲載しておく。表を見て比較する時の参考として欲しい。
CPU性能比較表の読み方。注意・注目点
PassMark(M)・・・絶対的な評価基準、高いほど総合的に優秀。PassMark(S)・・・シングルスレッドスコア、高いほどゲームのフレームレートやアプリ起動のサクサク感に効果を発揮TDP・・・熱設計電力を表し、消費電力の目安。単位はW。ノート向けは概ね50W以下で探せば良い。コア数・・・CPUの演算ユニットの数、多いほど同時複数の処理を得意とする。スレッド数・・・パソコンから見える仮想的なコア数。1コアあたり2スレッドのケースが多いが2コア2スレッドには能力で劣る。最大周波数・・・パソコンの速度の基準の一つ、5GHzは1秒間に5億回の計算命令を発行できるタイミングを持つ。命令の効率にも依存するため一概には言えないが、一般的に高いほど単一で重い処理を高速にこなす事ができる。価格・・・単位はドル、アメリカでの参考販売価格。日本だとおおよそ130程度を掛けた値となる。輸入価格が上乗せされやや割高な感がある。発売年・・・ベンチマークとして初めて登録された年、日本での発売日とは若干ずれる可能性はある。コスパ・・・PassMarkの値を価格で割った値。数字が大きいほどコスパが高い。まあ参考程度に。検索/フィルタリング方法の例・詳細+
ヘッダー部分をクリックすることでソートが行える。また、CPU名称はカンマ区切りをすることでor条件で調べられ、各スコアはレンジ(-)や不等号でフィルタリングすることができる。
フィルター方法の例(該当するフォームへ入力)
i5-13,i5-12,i5-11・・・第13世代と第12世代と第11世代のCore i5を比較Ryzen 7 5,i7-13・・・第5世代Ryzen7と第13世代Core i7を比較core.*-12・・・第12世代のCPU。.*はワイルドカードで任意の文字列が入るcore.*-13.*K$・・・第13世代のCPU。$は終端文字で最後がKで終わる1 - 20000・・・スコアが1から20000まで、-の間にはスペースが必要<50・・・TDPが50W未満の省電力CPUのみフィルタ>=4・・・コア数が4以上>100・・・参考価格が100ドルより上ベンチマークとして総合的な能力を計測するPassMarkの総合スコアPassMark(M)とシングルスレッドの性能を測るPassMark(S)を掲載している。
基本的にはPassMark(M)を下記目安とともに参考にすれば良いだろう。ただ、PASSMARKの値はベンチマークバージョンにより上下するため、他サイトのスコアは参考にならないので注意しておこう。
下記は当サイトでのPassMarkの目安である。これを参考にしておすすめのCPUを選んで欲しい。
PassMark(M)の目安
40000 - ・・・ゲームのパフォーマンスに異常にこだわる変態、プロフェッショナルなクリエイティブ用途20000 - 40000・・・ゲームで高いFPSを目指す時、クリエイティブ用途で特定処理の高速化を実現したい場合12500 - 20000・・・複数アプリでのハードなPC作業も余裕でこなせ速い。高度な3Dゲームを快適にしたい場合8000 - 12500・・・日常的なPC使いでは余裕のパフォーマンス、簡単な動画編集や軽いゲームも快適にこなせる5500 - 8000・・・日常的なPC使いで遅いとは思わないレベル。テレワークでは最低これぐらいは欲しい3000 - 5500・・・体感的な引っかかりが気になるレベル。裏でウイルススキャンとか走ると辛い2000 - 3000・・・動画やブラウザでの引っかかりが多く、イライラさせられる。遅い~2000・・・敢えて言おう、カスであると※ゲームはGPU搭載が前提です。
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