CPU(プロセッサー)の選び方

パソコンの性能を決定する上で最も重要な役割を果たすCPU、インテルのCore iシリーズが有名であり、店頭に行くと「Core i5なので安心です。」などと説明を受けることもある。

しかし同じCore i5でも100種類以上存在し、デスクトップ向けやノート向け、発売次期などによって性能は大きく異なってしまう。

本ページではCPUの基本から、型番やスペック表の読み方、ベンチマークテストなど、性能を測る上で重要な項目について解説し、用途や予算にあった最適なCPUを自分で選択できるようにすることが目的である。

CPUとは何か?

CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)とはパソコンの頭脳に当たり、パソコンの演算処理を主に担当する。アプリケーションから来た命令、たとえばファイルを移動させる、Excelで数値計算した値をセルに反映させるなどあらゆる操作をCPUがこなすのである。

CPUの性能が悪いと指令に素早く答えることができず、パソコンの動作が鈍くなる、使用者にはストレスとなる。

たとえば、Webサイトを見ている時にマウスのスクロールが滑らかでない、動画がカクカクする、動画形式の変換が遅い、急にクリックが反応しづらくなった、なかなかアプリケーションが立ち上がらない、ブラウザのタブの開きが遅い、などはCPUが主因となるケースが多い。

パソコン用CPUはIntelとAMDの2社から選択する

パソコンの完成品はレノボやデル、ヒューレッドパッカード、NEC、富士通、マウスコンピュータなど複数のメーカーが開発しているが、その内部で使われているCPUの提供メーカーはIntelAMDの2社のみである。

Intelは「インテル入ってる?」で知られるアメリカの半導体メーカーであり、最近はAMDにやや押され気味ではあるものの、長らくCPU市場のシェアを独走し続けてきた。

一方でAMDもアメリカの半導体メーカーでCPUの他、グラフィック専用のGPUも製造している。

パソコン用CPU向けのミドルレンジ以上のブランドとしてIntelはCore iシリーズAMDはRyzenシリーズという製品を発売している。

低価格向けとしてIntelはCeleron、AMDはAthlonという製品も発売しているものの、低スペックで動作が遅いために、基本的にはCore iシリーズかRyzenを選んでいくことになる。

CPUの性能に重要な要素1:シリーズと世代

ひとことにCore i CPU、Ryzen CPUといってもその種類は数百種類を超え、性能も千差万別である。これらを区別するために必要なより細分化されたシリーズ及び、世代についてまずは説明する。

シリーズは数字が上のものほど高性能

Core iシリーズはCore i3、Core i5、Core i7、Core i9と更に細かくシリーズ分けされており、数値が大きいほどハイエンドなCPUである。

Ryzenシリーズについても同様のことが言え、Ryzen3Ryzen5Ryzen7Ryzen9とシリーズ分けがされており、数値が大きいほどハイエンドなCPUである。

それぞれラインナップを表にすると次のようになる。

CPUの製品ラインナップ
カテゴリー メーカー CPU名
ハイエンド Intel Core i9
Core i7
AMD Ryzen 9
Ryzen 7
ミドルエンド Intel Core i5
Core i3
AMD Ryzen 5
Ryzen 3
ローエンド Intel Pentium
Celeron
AMD Athlon

世代が変わるたびに性能が20%程度上昇

また、各シリーズはほぼ毎年アーキテクチャが刷新されて同名のシリーズとして発売される

この毎年刷新されるアーキテクチャが、最初から数えて何代目かを表した言葉が世代であり、世代が新しいものほど性能がアップする。年にもよるがおおよそ20%程度性能が上がることが多い。

世代の見分け方は型番の項目で詳しく説明するが、シリーズ名に続く最初の1,2桁の数値が世代を表す。Core i5-10600Kだと10世代目、Core i7-1185Gだと11世代といった塩梅である。

Ryzenに対しても同じことが言え、Ryzen 9-5950Xだと5世代目のRyzenということができる。59世代と読めなくもないが、そこまでRyzenシリーズは発売されていないため、よろしく汲み取って欲しい。

またそれぞれの世代について下記のように開発コードネームがつけられており、コードネームでCPUが語られることもあるため、覚えておいても損はない。

世代 開発コードネーム
第11世代(ノートPC) Tiger Lake
第11世代(デスクトップPC) Rocket Lake-S
第10世代 Ice Lake
第9世代 Cofee Lake Refresh-S
第8世代 Cofee Lake

ちなみに、コードネームは開発段階でつける製品(またはプロジェクト)の名前であるが、発売されていない製品に関する会話をプロジェクトメンバーが円滑に進めるられるようにつけるものである。

このため製品の宣伝でコードネームを使うのは、単にマニアックなギーク向けというわけである。

CPUの性能に重要な要素2:末尾のアルファベット文字

シリーズと世代が理解できたならばCPUの選び方を半分程度理解したと言える。しかしCore i7の第〇〇世代という情報だけでは、まだそのCPUがどの程度の性能を有しているのか十分に判断できない。

そこで、もう一つの重要な要素が用途である。型番としてはお尻のアルファベットが用途を表しており、Core i9-10900KならばKが用途である。必ずしも用途だけではないが、CPUの特徴を十分に表している。

ちなみにKはオーバークロックの意味で、消費電力を上げて性能を引き上げるオプション機能が付属しているという意味合いである。

Intelの代表的なものは上の図のようになる。消費電力を横軸に、性能を縦軸にとると大体の文字は整理ができる。

特にノートPCは消費電力がバッテリーの持ちに大きく関係するため、性能を取るか、ロングバッテリーを取るかを選択する必要が出てくる

Intel CPUの末尾文字の意味

IntelとAMDのCPUの末尾文字をまとめておく。まずはIntelから。

Intel CPUの末尾文字
  • アルファベット無し・・・通常版
  • X・・・オーバークロックに対応、Kと同じだが、Intelの最高峰CPUを冠した文字
  • K・・・オーバークロックに対応
  • F・・・CPU内臓グラフィック(iGPU)無効、グラフィックボードを搭載しないと描画できない。デスクトップ向け
  • H・・・ハイパフォーマンス、ゲーミングノートに主に使われる
  • G・・・内蔵グラフィック強化版・Adobeなどの動画像編集やゲームで有利
  • T・・・低消費電力版、ノートパソコンや小型デスクトップに使われる、スペック高め
  • U・・・15Wウルトラ低消費電力版、事務作業に最適でバッテリー寿命も長い
  • Y・・・5Wの超低消費電力版。パワーは弱い、ライトユーザ向け
  • M・・・モバイル向け、第5世代以降使われていない
  • Q・・・クアッドコア(現在は使われていない)

いくつか注目点を上げる。まず、Fはグラフィックボード搭載が必須となっており、搭載しないと画面に何も出力することができないモデルとなる。単品で購入する場合は注意が必要となる。

Gは11世代以上のものならゲームもある程度動かすことができ、ノートパソコンで映像編集やゲームを重視するならば良い選択肢となる。

Yは手軽さと低消費電力でロングバッテリーを実現できる事が売りであるが、性能が低く、テレワークなどのオフィス作業にも耐えられない可能性が高い。仕事用途では避けておいた方が無難であろう。

AMD CPUの末尾文字の意味

次にAMDのケースは次のようになる。

AMD CPUの末尾文字
  • アルファベット無し・・・通常版
  • X・・・AMDの最高峰CPUを冠した文字、Intelと同様
  • G・・・GPU内臓(AMDのCPUはG以外だとグラフィックボードが必須)
  • H・・・ノート用ハイパフォーマンス、ゲーミングノートに主に使われる。
  • U・・・低消費電力版、Intelと同様
  • E・・・低消費電力版

AMDのデスクトップCPUの通常版やX版はIntelのFと同様でグラフィックボードの搭載が必須である。単品での購入は注意しよう。

ノートPC用はあまり種類が多くないため判別が付きやすいだろう。

CPUの型番の読み方を解説

ここまでの解説でほとんど読めるようになっていると思われるが、型番は図のように左からシリーズ名世代マイナーバージョン用途の順で書かれている。

マイナーバージョンは、さらに細かい製品分けで使われるバージョンで、同シリーズ、同世代のCPUの場合はマイナーバージョンで性能を区別できる。そこまで性能差は大きくないが、バージョンが高いものほど高性能であると考えてよい。

CPU選びの基本は、まずシリーズ名と世代からどのレンジのCPUかを判断し、用途にあった種類のCPUを選択し、価格と照らし合わせて判断することである。

ベンチマークから性能を判断する

型番の読み方でおおよその選び方は理解いただけたかと思うが、いくつか疑問も残る。

  • 前世代のCore i7と新世代のCore i5ではどちらの性能が上か?
  • Core iシリーズとRyzenのとあるCPUでどちらの性能が上か?
  • デスクトップ向けとノート向けCPUでどれぐらい性能が異なるのか?
  • 用途による向き、不向きがイマイチ分からない

このような型番だけでは判別がつかない問題に答えるために、CPUの性能を多角的に判断するベンチマークテストが外部の機関・企業により提供され、その結果が公開されている

有名なベンチマークを3つ紹介しておく。

テスト名 説明
PassMark CPUの総合的な性能を測るテスト、オーストラリアの有限会社が運営しておりベンチマークとしては信頼性が高い。
3DMark 3Dの描画能力を図るためのベンチマーク、この値が高いほど3DやVRゲームで滑らかな描画を実現できる。
Cinebench 画像のレンダリング性能を測るソフト、この値が高いほど3Dのモデリングなどの映像編集作業に向いている。

基本的に高度な3Dゲームやエフェクトの伴うような映像編集を行う人以外はPassMarkの結果を参考にすると良い。ベンチマーク結果をスコアの目安とともに表としてまとめてあるので下記を参考にして欲しい。

CPU性能比較表
400を超えるCPUから高機能フィルタにより世代間/ベンチマーク/TDP/コスパ等の絞りこみが行えます。

スペック表から性能を判断する

パソコンのCPU仕様の欄には(4コア/3.00GHz/TB時最大3.50GHz/6MB スマートキャッシュ)なども書かれている。

これらの数値が高さが直接性能の高さに繋がるわけではないが、CPUの特性を理解するうえで役に立つので解説しておく。

コア数

CPUは演算を行う中核であるコアというパーツを持ち、この数がコア数である。

複数のアプリケーションを同時に実行しようとした時、一つのコアに集中して処理を任せるのではなく、複数のコアに任せることで負荷分散をさせ、アプリの動作を軽くすることができる。

また、単一のアプリケーションを実行する場合であっても、そのアプリケーションの処理がマルチコアに対応している場合には、処理を軽快にこなすことができる。イメージを書くと次のような感じになる。

マルチコアへの対応は完全にアプリによりけりであり、同じアプリ内であってもマルチコアを必要とする処理としない処理に分けられる。

画像の緻密な光の当たり具合を計算するレンダリング処理、Youtubeに動画をアップロードするためなど動画形式を変換するエンコード処理、あるいはAI処理などはフルにマルチコアの能力が使われる事が多い。

一方でブラウザやオフィスの単純な操作はシングルコアのタスクであり、コア数が多くても恩恵は受けない。ゲームはある程度マルチコアを有効利用しているが、映像編集やAI処理ほどコア数を必要としない傾向がある。

アプリごとに使用されるコア数には上限があるという事実も抑えておきたい。

他アプリの動作状況も加味した上で、性能を上げるための限界コア数は大雑把だが、オフィスやブラウザは4コア、ゲームは10コア、映像編集やAI処理は多いほど良いぐらいの感覚である。

スレッド数

次にスレッド数は、ソフトウェア側から見えるコア数のことを言う。実際の物理的なコア数とは異なるため、仮想的なコア数とも呼ばれる。

一つのコアにはいくつもの演算ユニットが存在するが、全ての演算ユニットが常に使用されるわけではない。

そこでソフトウェアがCPUに命令する入口(=スレッド)を増やし、余剰の演算ユニットを効率的に使えるようにしようという考えが生まれた。

1コア2スレッドの場合、コア自体は1つであるが、そのコアに対して2つの命令が同時に行え、中の演算ユニットやメモリなどのモジュールを共有して効率的に使用するのである。

物理的なコア数はあくまで1つであるため、性能的には2コア2スレッドは、1コア2スレッドのCPUに劣ることは自明である。

このスレッド技術であるが、IntelはHyper Threading Technology(HTT)、AMDはSimultineous Multi Threading(SMT)と名付けている。どちらも実装は異なれど仕組みとしては同等のものである。

クロック周波数(動作周波数) (GHz)

CPUはより物理的な仕組みとして、電圧の波を発生させ、その波の変動により同期を取り計算を実行している。コアごとに1秒間に発生させることができる電波の波の数をクロック周波数と呼び、命令を処理することが可能なタイミングの数と考えれば良い。

クロック周波数の単位としてはGHz(ギガヘルツ)が使われるが、5GHzならば1秒間に50億回電波の波を発生させていることになる。

基本的にはクロック周波数が高いCPUほどシングルコアでの性能が高いと言えるが、1回の命令で実行できるタスク量はCPUのアーキテクチャによるため、単純にクロック周波数だけでシングルコアの実力を測ることは困難である。

よって同世代のCPUの比較程度にとどめておくのが現実的な見方であろう。

ターボブーストテクノロジー

CPUにもよるが、各コアはCPU内の温度や、他のコアの使用状況に応じてクロック周波数を一時的に引き上げる機能を持つ。

IntelはこれをTurbo Boostテクノロジー(TB)と、AMDはTurbo Coreテクノロジーとそれぞれ命名しており、スペック表ではTB時最大3.50GHzや2.2GHz(Max 4GHz)など、通常のクロック周波数とは区別して記載される

この機能により、特定のシングルコアに重い負荷が加わった時の処理を加速させることができる。ゲームの他、通常のオフィスの起動、Excelで計算を回す時など様々なシーンで用いられている。

キャッシュ

スマートキャッシュ6MB等スペック表に記載されているがこれは何か?キャッシュとは一時的に計算結果などを保存しておく領域の事で、この場合CPUの中にキャッシュ機能を積んでいる。

ハードディスクやSSD、メモリーも同様にデータを保存する領域であるが、CPUとの物理的な距離が離れているため演算処理の途中結果を保存しておくには効率が悪い。

しかしCPU中のキャッシュはCPUのコアと物理的に近い場所にあり、かつ少量ながら高品質であるため非常に高速である。さらにスマートキャッシュという技術により、より効率的にこの少量のキャッシュを使用することができる。

基本的にはキャッシュの値が大きいほどCPUの性能が高まると考えておけば良いだろう。

製造プロセスルール

直訳すると製造工程のことだが、CPUなど半導体製品においては集積回路の線の幅のことを言う。単位としてはnm(ナノメートル)を使う。それほど線は細いのである。

良く新製品で10nm(ナノメートル)の微細化を実現などと書かれてあり、だからどうなんだと思うのが普通であるが、微細化すると低消費電力で高性能を発揮しやすくなる

次世代CPU発売などアーキテクチャ刷新のタイミングで更新されることが多い。

裏の話であるが、実際のところどの幅のことを言っているのか各社により定義が違うためIntelとAMDでの比較は難しく、単にマーケティング用語になっているだけの節もある。あまり気にする必要は無い。

Core iシリーズ vs Ryzen どちらがおすすめか?

ソニーか任天堂のどちらが良いかというゲハ戦争(ゲームハード戦争)のようにIntelとAMDのどちらが良いかという比較議論が界隈ではよくされる。

現状の勢力図としてどうなっているのか。基本的にはベンチマークで性能を測れば大筋間違えは無いが、応用としてベンチマークでは計測できない観点も含めて総合的な判断を下していきたい。

また、価格は市場と連動するためIntelとRyzenどちらを購入すべきかを述べているわけではない。あくまで先端を走っているのはどちらかという観点で説明する。

ノートパソコンはIntel一択

ノートパソコンでオフィスワークや映像編集作業を行おうとしている場合はIntelが処理速度の面で有利となる。

ベンチマークではAMDのノートパソコンも高い値を叩きだしているものの、個別ソフトウェアの最適化が進んでいないという問題点がある。たとえばAdobeソフトで動作が不安定になりやすいなどの問題点がある。

また、Intel製CPUはコアの他にGNAと呼ばれるAI専用の回路を持っており、リモート会議中のノイズ除去や映像編集での自動トリミング領域の抽出など随所の重い作業を高速化してくれる。

また、AMDノートパソコンはバッテリー起動時に性能が極端に落ちるなど使い勝手の悪さもIntelに指摘されている。

デスクトップパソコンは強力なCPUパワーによりこれらAMDの欠点は補えるが、ノートに関してはインテル性CPUの方が安定感があるだろう。

3DゲームならばIntelのCPUがコスパで有利

全体的なデスクトップ用CPUの傾向として、AMDはコア数とスレッド数が多いがコストパフォーマンスの割にシングルスレッド性能が低い、Intelはコア数とスレッド数は多くないがシングルスレッド性能の割が良い製品が多いという特徴がある。

3Dゲームはマルチスレッドでの処理が進んできており、コア数が多い方が有利ではあるが、一定数を超えるとコアを全て使いきれなくなる傾向がある。

この結果AMDの16コアCPUなどは全てのコアをゲームに有効活用できず、ゲームに適当な数のコア数を有しているIntelはゲーム用CPUとして適していると言える。

一方で、ゲームをプレイしながらストリーミングで実況放送をするなど、重い処理を複数走らせるような状況ではコア数に余裕があるAMDのCPUは有利である。

映像編集ならばAMDのCPU

一方で動画のエンコード、デコードといった処理はマルチスレッドをフルに活用できる機会が多い処理である。これらの処理は規則的な演算を多く並列的に処理する機会が多く、ほぼ均等に全てのコアに対して同様の負荷を与えて演算させることができる。

他にもzipファイルの解凍など、ある形式から別の形式に変換するという用途ではマルチスレッドの恩恵を受けやすい。

映像編集系ソフトはゲームよりもマルチスレッドを活用できるシーンがあるため、コア・スレッド数が多いAMDが有利となるシーンは多い。あとは価格次第といえる。

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