【選び方実践】中古パソコンの注意点や危険性をエンジニアが解説
中古パソコンを買うとなるとまず漠然とした不安を抱えるかもしれない。外傷のスレなど分かりやすい部分は良いが、問題は中身である。動作が遅過ぎないか?ウイルスが仕込まれていないか?Windows OSが古いがセキュリティの不安は?などである。
しかし事前に中古パソコン特有の注意点や危険性を把握し、スペックの重要なポイントを抑えられればこれらの不安はほとんど解消できる。
そこで本記事では、ソフトウェアエンジニアの管理人がこれら注意点の指摘や危険性の回避を中心に中古パソコンの選び方を解説し、皆が安心して中古パソコンを購入できることを目指す。
- 中古パソコンの選び方のまとめ
- Windowsのサポート期間は問題がないか?
- サポート期限が切れたら直ちに危険という訳ではない
- リスクがあればサポート期限切れでもセキュリティパッチが提供される
- OSレベルのセキュリティより、セキュリティ意識が重要
- 個人で使う分にはサポート切れから3年程度は猶予があると思ってよい
- Windows 11はIntel第8世代以降のCPUが必要
- 中古パソコンにウイルスの危険はあるのか?
- メルカリでの購入は危険性が高い
- 出品者は更に危険
- マイクロソフトオフィスを搭載したいがどうか?
- マイクロソフトオフィスは所有権を譲渡することができない
- オフィス搭載パソコンの購入よりはオンラインコード版を選ぶべき
- CPUは遅すぎないか?
- バッテリー残存量はどの程度か?
- 中古パソコンのおすすめショップランキング
- 1位:Qualit - ビジネスクオリティの中古パソコン
- 2位:OraOrA - 業界トップクラスの取引量
- 3位: JUNKWORLD - 高効率なリサイクル技術
- 4位:デジタルドラゴン - 豊富な品揃えは随一
中古パソコンの選び方のまとめ
まず早速であるが、どのようなことに注意してパソコンを選べば良いのかについて結論を簡単に示しておく。



他は一般的なパソコンの選び方とポイントは変わらないため本サイトトップページのパソコンの選び方を項目別にアドバイスなどを参照してスペックを決めて行けば良い。
では下記で上記結論に至る理由やより分かりやすい詳細について説明していく。
Windowsのサポート期間は問題がないか?
中古パソコンのセキュリティ問題を担保する上で考えなければならないものがWindows OSのサポート期間であり、OSのサポート期間切れが近づく度に量販店などでは催促キャンペーンが行われ買い替えを迫られる。
Windows PCは定期的に自動でOSのアップデートが行われ、セキュリティが保たれている。ところがこのWindows Updateが行なわれるサポート期間はOSの登場から10年となっており、期限を過ぎるとアップデートが提供されなくなってしまう。
直近のOSであるとサポート期限は次のようになっている。
OSの種類 | サポート開始日 | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 10 | 2015年7月29日 | 2025年10月14日 |
Windows 11 | 2021年10月4日 | 2031年xx月x日 |
サポート期間が切れたらセキュリティの保証はされないのでOSをUpdateするかパソコンをOSが新しいものに買い替えるようマイクロソフトのホームページやメディアなどでアナウンスが行われる。
ただOSのアップデートにどれほど真面目に対応しなければならないかは意見が分かれるところであり、企業によってはサポート期限切れのOSをいつまでも使い続けている例も散見され問題となっている。
これに対してソフトウェアエンジニア観点から見た基準を示したい。
サポート期限が切れたら直ちに危険という訳ではない
まず一般的な話としてソフトウェアの不具合は公開時に一番多く見つけられるものである。それまでは内部の開発者やテスターのみがソフトウェアを実際に使っている状態のため、一般公開時に不具合が大量に出るのは当然である。
一般公開の後、地道な改善を重ねていくことで不具合が徐々に減り、数年も立てば大きいセキュリティの脆弱性などはほとんど潰された状態となる。
つまりWindowsに関して言えば、10年が経過しサポート期限を迎えたOSは多くのユーザによって鍛えられたもので動作は安定し、セキュリティは強固なものになっているのである。発売したばかりのOSの方が確実に脆弱性は多い。
パソコンの販売員は不安を煽ってパソコンの新規購入を促すだろうが、直ちに対応すべきかということについては甚だ疑問である。
リスクがあればサポート期限切れでもセキュリティパッチが提供される
また、多くの人がサポート切れのOSを使い続けているという現状で、マイクロソフトがセキュリティ対策を取らないということは大企業の信頼性を考えると有り得ないことである。
実例をあげよう。2017年に登場したWannaCryというランサムウェアのウイルス、すなわちパソコン画面をロックして、ロックを解除する代わりに身代金を要求するというウイルスが世界的に猛威をふるった事があった。
これが医療機関などにも広まりを見せたため、これを防止するためマイクロソフトは既にサポートが終了して数年が経過していたWindows XPに対してもセキュリティパッチを配布している。
新規機能の開発がサポート切れのOSで提供されることはないが、十分に使用者が減るまでは、少なくともサポート切れから数年はセキュリティパッチ対策が提供されると考えても良いだろう。
OSレベルのセキュリティより、セキュリティ意識が重要
最後にWindows Updateによる脆弱性の改善など全体的なリスクと比べるとごく僅かであり、セキュリティ意識を持つ方が遥かに重要である。
仮にセキュリティホールがOSに見つかったとしても、怪しいソフトやEmailの添付ファイルをクリックするなどしない限りパソコンは守られる訳である。
また、情報漏洩としては偽サイトにパスワードを入力する、共用のパソコンに入れた情報が他の人に閲覧されたなどOSのセキュリティ対策以外のところで破られる事がほとんどであり、OSの脆弱性を付く高度な攻撃により個人情報が盗まれるなど滅多にあるものではない。
期限切れだからといって慌てて買い替えるよりは自身のセキュリティ意識がパソコンと個人情報を守るのである。
個人で使う分にはサポート切れから3年程度は猶予があると思ってよい
以上の考察からWindowsのサポート期間の結論として、サポート切れの後3年程度は使い続けても問題は無いであろう。セキュリティが長年の実用に耐え強固な上に万が一の場合はパッチも提供されるためリスクは十分に低い。
ただし、企業の場合は積極的に攻撃を受け、かつ一人の漏洩から他の社員のパソコンにも影響が出る可能性があるので、あくまで個人で使う場合であると理解しよう。
Windows 11はIntel第8世代以降のCPUが必要
セキュリティ対策が必要なのはOSだけではなく、土台となるCPUやマザーボードなどのハードウェア、その上で動くOS、さらにその上で動くブラウザなどのアプリケーションとそれぞれのレイヤーで対策をする必要がある。
Windows 11は脆弱性対策の観点からサポートするCPUをを定めており、Intel Coreシリーズならば第8世代以降、AMDのRyzenならば2000以降のCPUをサポートする。これについては専門性がやや高いがASCIIの記事 も参考になる。
世代というのはCPUのアーキテクチャが何代目かということを示しており、基本的には毎年1回刷新されて型番が上がっていく。第8世代の型番は例えばCore i5 8200など8XXXで表されており、それより大きい番号ならばセキュリティの観点から問題がないだろう。
一方で中古パソコンとして第7世代以下のCPUをWindows 11にアップグレードして販売している例を見るがこれは危険と言わざるを得ない。
セキュリティに問題がある上にマイクロソフトによる動作保証もされていないため、購入当時は動いていたとしても、今後のWindowsアップデートなどで問題になる可能性も十分に考えられる。
ちなみにWindows 10から11へのアップグレードはwindows-11-をインストールする方法などを参考にして無償で行えるが、その場合もCPUがサポート対象かは確認する必要がある。
第7世代以下はWindows 10を使い続ける事がおすすめである。
中古パソコンにウイルスの危険はあるのか?
まずウイルスとは何となく目に見えず得体の知らないものというイメージであるが、コンピュータの世界でウイルスは悪意を働くただのプログラムである。
作成は簡単で、例えば開くとデスクトップにあるテキストファイルを全て抽出して、特定のサーバに送り情報を盗み取るというプログラムは、作ろうと思えばWindowsアプリを作成したことがない管理人であっても3日もあれば作れるだろう。
あるいはより分かりにくい例として、目に見えないがバックグラウンドで動く常駐アプリというものを作れば、人目に触れず情報を盗むことができる。
メルカリでの購入は危険性が高い
これらのウイルスは基本的にWindows OSの上にアプリケーションをインストールして動くものである。よってOS自体が初期化された状態だと、不要なアプリケーションは一切インストールされていない状態となるので危険性が低い。
OSが初期化されている場合、新品のパソコンと同様で最初にパソコンを開くと言語選択などOSの初期設定画面から始めることになる。
ところがメルカリなどフリマアプリで中古パソコンを見ると初期化後にマイクロソフトオフィスを入れましたなど、アプリケーションをインストールしているケースが多く見られる。
この時に情報を盗み見るソフトをこっそり入れた場合はどうだろうか?例えばバックグラウンドで入力されたキーを送るプログラム(キーロガープログラムという)を仕込まれると、簡単にIDとパスワード情報を盗まれてしまう。
フリマアプリで中古パソコン購入するときは少なくとも初期化された状態のものにしよう。ただし保証無し、梱包は素人でパソコンが傷つく可能性大、リスクを考えると価格も安くないと悪条件が揃うのでいずれにせよあまりお勧めできない。
出品者は更に危険
ちなみにの話ではあるが、自分のパソコンを出品する側は細心の注意が必要である。HDDは連続したデータがディスクに書かれているのでフォーマットして初期化したとしても内容が読み取られる可能性が高い。
またSSDに関してはHDDほど簡単ではないが、SSD内のデータの割り当て規則から逆算して意味のあるデータを取り出すようなソフトも存在するため、こちらも内容が読み取られる可能性はゼロではない。
悪意のある人が、メルカリでパソコンで購入して、それを解析するというケースは大いに考えられるので、出品者は細心の注意が必要である。
例えばストレージメーカーのCrucialはCrucial Storage Executiveというデータ消去を完全な形で行えるツールを提供している。このような事をキチンとやっていく必要があるため、盗まれてよいデータしか入っていないような場合以外はおすすめできない。
マイクロソフトオフィスを搭載したいがどうか?
中古パソコンで迷うのがマイクロソフトオフィスの搭載である。インストールされたものを購入すべきではないというのが私の結論であるがその理由を解説する。
マイクロソフトオフィスは所有権を譲渡することができない
2021年の10月以降、Microsoft Officeの譲渡は禁止されているされたため、中古でそのままMicrosoft Officeを使うことは不可能となった。
譲渡にはアカウントごと譲渡しなければならなくなったが、アカウントを提供する人は皆無であろうし、既に自分のアカウントを持っている人は他の人が提供するアカウントを使いたくはないだろう。
具体的には昔のOfficeはプロダクトコードがついていて、それを入力することで譲渡が簡単であったが、Microsoft Office 2019以降はプロダクトコード方式は廃止されている。
よってメルカリなどでOffice搭載となっている製品は購入するとアカウントの譲渡問題で使えないか、あるいは古いMicrosoft Officeか違法な何かであり、いずれにしても高リスクである。
オフィス搭載パソコンの購入よりはオンラインコード版を選ぶべき
中古パソコンにインストールされているオフィス製品が正規のものであるかは、その事業者がMAR(Microsoft Authorized Refurbisher)プログラムに加入しているかで判別できる。
しかしこの加盟事業者はごく僅かであり、そもそもプリインストールされたオフィス製品(OEM版)はそのパソコンにしか使えないため、寿命が短い中古パソコンに対してOEM版のマイクロソフトオフィスを入れることは割りに合わない。
そこでおすすめなのはオンラインコード版のオフィスである。
OEM板 | オンラインコード版 | パッケージ版 | Microsoft365 | |
---|---|---|---|---|
適用範囲 | 1台限り | 2台まで | 2台まで | 無制限 |
料金 | 25000円程度 | 35000円程度 | 40000円程度 | 月額1000円程度 |
備考 | 購入時のパソコン以外では使用できない | ライセンスの他パソコンへの移行が可能 | ライセンスの他パソコンへの移行が可能 | Skype月60分、クラウドストレージ1TBが無料で付随 |
オンラインコード版は2台のパソコンにインストールできる上、ライセンスの他パソコンへの移行も可能なため、実質同時に2台まで永久に使えることになる。
故障確率を考えると断然こちらを購入すべきである。また、物理的なDVDが欲しい場合はパッケージ版もあるが、数千円高くなるのでオンラインコード版がおすすめである。
なお、そもそもマイクロソフトオフィスが必要か?という疑問については下記の記事を参考にして欲しい。
CPUは遅すぎないか?
中古パソコンの性能で特に注意が必要なものはCPUである。
CPUは販売時期を表す世代や、デスクトップ用やノート用、ゲーム用などの用途、同じ世代、用途で性能別に分けたシリーズなど細かく分かれており、CPUの能力を判別することが難しい。
これを解決するために、PASSMARKなどCPUの総合的な能力を計測するベンチマークが複数の会社から公開されている。これらベンチマークを確認することによって世代や用途を乗り越えてCPU間の比較が可能となる。
下記ページに各種ベンチマークの結果を表したCPU比較表と結果の目安を準備しているので、そこから自身が購入しようと思っているパソコンの性能を把握してほしい。
なお古いCPUは代表的なものしか載せていないが、型番の近いものからある程度は推測は可能である。
また高度な3Dゲームをしたい場合などはGPUの搭載も必要となるが、GPUも世代により大きな差が生まれるため、CPUと同様にベンチマークで確認したい。
バッテリー残存量はどの程度か?
バッテリー残量は非常に判断するのが難しいのである程度は運任せとなる。
年数が新しいということと、使われていないということが判断材料となり、年数はパソコン自体のスペックや商品の説明文から、使用感はパソコンの状態からある程度判断することになる。
それではどれぐらいのバッテリー残存量が妥当な水準なのか?自動車の電池保証によると凡そ8年間でMAXの70%程度が保証範囲となっている。
中古パソコンにおいても8年で70%程度は残っていると考えるのが妥当であろう。
バッテリー残量を確認する手段として、Qualitなど残量を計測して保証してくれている中古パソコンショップもあり非常に有用である。
中古パソコンのおすすめショップランキング
最後に多くある中古パソコンショップの中で特におすすめできるパソコンショップをランキング形式で4つ紹介する。いずれも価格、品質、保証面で水準を満たし、かつ十分な取引量を備えているため事業撤退の可能性も低いだろう。
また第8世代未満のWindows 11パソコンを販売などリスクのあるパソコンを売り出しておらず、セキュリティ意識もしっかりしている。
他にも多くの中古パソコンショップが存在するが、いずれも価格が高い、規模が小さくて安定しない、パソコンがメインの事業ではないなど特有のリスクが存在するため下記の4つの中から探せば十分である。
1位:Qualit - ビジネスクオリティの中古パソコン
まず最もおすすめしたいサイトがこのQualitである。他の中古パソコンと比べ圧倒的なコストパフォーマンス、クオリティ、パソコン品質のムラの少なさを誇る。
横河レンタ・リースという法人向けとして有名なパソコンのレンタルサービスがあり、私が勤めている会社でも利用しているのだが、レンタル期限を終えて返却されたパソコンを再整備して売りに出しているのである。
安値で仕入れ、高値で売るという多くの中古パソコンショップとはビジネススキームで一線を画しており、これが圧倒的な価格競争力を実現している。
更に法人向けの厳しいビジネス要求に応えられるようバッテリーチェックを含め高いレベルの点検・整備を行なっているので文句の付けようが無い。
法人用に使われているという事実は、個人で無理な使われ方をしたパソコンが来ないという点でも安心材料である。
2位:OraOrA - 業界トップクラスの取引量
株式会社ティーズフューチャーという法人向けの産業廃棄物処理を手がける会社が行なっているショップで実店舗を秋葉原にも構える。
データ消去に定評があり、主に企業や官公庁、教育機関などから出る使用済みのPCを回収し、再販可能なものは販売するというビジネスモデルを取っており、実店舗での買取は行なっていない。
取引量が業界トップクラスであり、オペレーションが効率されている事で格安価格を実現しており、中古のWindows PCも常時1000点程度は販売している安定のクオリティも魅力である。
3位: JUNKWORLD - 高効率なリサイクル技術
株式会社アールキューブというパソコン回収とデータ消去を中心とした事業を行なっている会社が運営している中古パソコンショップ。
パソコン回収.comなどを通じて、法人、個人双方から不要になったパソコンの回収を行なっており、個人はどんなパソコンであっても無料で引き取ってくれる。
このサービス、あるいは買取を通じて集まったパソコンのうち再利用可能なものを再整備して発売しているサイトがJUNKWORLDである。
他社が真似できないユニークな方法でパソコンを集めていおり、年間数万台の販売実績を誇り規模も大きい事から品揃えや価格競争力はトップレベルに高い。
4位:デジタルドラゴン - 豊富な品揃えは随一
デジタルドランゴンはパソコン工房傘下の中古パソコンブランドである。買取は実店舗を通じて行なっているため、安く買って高く買うモデルであるが、他と比べると中古査定には1時間以上の時間を要し十分な精査が行なわれる。
品質がシビアな分、価格は激安とまではいかないが、パソコン工房の新品製品と同様コスパは十分に高く、リーゾナブルである。また品揃えがノートパソコンからゲーミングPC、自作PCまで幅広く、比較的新しいパソコンが多い。
どの店とは言わないがボッタくりとも言える価格の中古パソコンショップが多い中、デジタルドラゴンは品質と価格が高いレベルで安定している。