SSHDとは?HDDとSSDのハイブリッドでどこまで高速化が可能?

大量安価のHDDに少量高価なSSDを搭載することでSSDに近い速度とHDDに近いコストを両立した製品がSSHDである。

SSHDはSolid State Hybrid Driveの略でSSD(Solid State Drive)にHDDを組み合わせてHybridにしたという意味である。こちらはSSDが主体の名前であるが、他にハイブリッドHDDと、HDDが主体の名前で呼ばれることもある。

このページではSSHDの成り立ち、特性の説明から実際の速度がどれだけ向上するかを述べる。

SSHDとは?

HDDは安価であるが遅く、SSDは高価であるが速い特徴がある。そこで最も頻繁にアクセスされるデータのみをSSD側に格納し、頻繁にはアクセスされないデータをHDDに格納すれば、少量のSSDであっても全体の高速化を図ることができる。このようなアイデアから生まれた商品がSSHDである。

たとえば、Storage容量が1TBあり、SSDが全体の1%である10GBであったとしても、OSから頻繁にアクセスされるデータを格納しておくことにより、80%程度のデータはSSDからのアクセスとする事が十分に可能となる。

SSDに格納されるべきデータはストレージに内蔵されたキャッシュコントローラにより制御される。使用者が頻繁に使うデータへと切り替えていくことによりSSDのヒット率を向上される仕組みを備えている。

SSDの価格下落により2015年頃から徐々に見かけなくなってきているものの、選択肢としては残り続けている。

製品としてはSeagate FireCudaなどSeagate製品が有名である。

発想はキャッシュ

SSHDの仕組みはキャッシュという考え方に基づく。キャッシュは何度もアクセスされるデータをより高速に読みこむ仕組みである。

たとえば、Webサイトへ2度目アクセスする際は速いと感じる時がある。これはインターネット経由で取得したデータをパソコンのストレージに保存しているためである。2度目のアクセスではインターネットより高速にデータを取得できるストレージからのアクセスとなるため速く感じるのである。

CPUも同様に、計算に頻繁に使うデータを内部の高速な一次キャッシュに抱え、そこでヒットしないものは二次キャッシュ、そこでもヒットしなければメモリモジュールへと、より大容量で安価な記憶装置へとアクセス範囲を広げていっている。

SSHDはSSDをHDDのキャッシュとして用いているのである。

初回起動時の速度は変わらず

キャッシュの仕組みを用いているためSSHDのパソコンを初回起動したときは速度が変わらない。まだ何もSSDに頻繁に使うデータが割り当てられていないためである。

しかし暫く使用しているうちに使用頻度の高いデータを自動で学習してくれるため、2回目の起動時、あるいは同一のアプリを暫く使用しているうちに速度がアップしていく。

使用頻度の高い機能ほど速度が上がるというのが肝であり、たまにしか使わないソフトを立ち上げる場合などはその恩恵を受けられないであろう。

SSHDは読み込みが速いが書き込みは遅い

SSHDは読み込みを速くする技術であり、書き込みを速くするためのテクノロジーも備わっているものの読み込みと比べたら効力は少ない。よってファイルのコピーなど書き込み速度が重視される項目では恩恵が得られない

この一つの原因として、SSDは書き込み回数が決まっているということである。数ギガバイト程度のSSDにアプリやOSを起動する度に書き込みが行われているとすぐに寿命を迎えてしまう。

そこで書き込み時にはHDDに直接書き込むため速度は通常のHDDとほぼ変わらない。

8GB程度のSSHDが主流

コストとの兼ね合いからかSSDを8GB程度搭載したSSHDが多い。SSDとHDDの総データ読み込み量に占めるSSDの割合をヒット率と呼ぶが、8GBでのヒット率と16GBでのヒット率がそう変わらないため、コストパフォーマンスを考えそれぐらいの容量になっているのであろう。

SSHDのメリット・デメリットは?

まとめる必要もなくシンプルであるが最後にメリット・デメリットを整理しておく。

SSHDのメリット
  • HDDより高速
  • SSDより安価
  • ヒット率次第ではSSDと同等速度
SSHDのデメリット
  • SSDより低速
  • HDDより高価
  • ヒット率次第ではHDDと同等速度
  • HDDと同等の重量

SSD vs SSHD vs HDDの実際の速度

Youtubeに実際の速度がどの程度か比較した動画が上がっているため紹介しよう。

この動画では標準的なSata接続のSSD、8GBのSSDを搭載したSSHD、7200RPM(Rotaition per minute:回転/分)の高速HDDで比較を行っている。その結果は以下の通りであった。

OSの起動 OSの再起動 Chromeブラウザの起動
SSD 18秒 22秒 4秒
SSHD 32秒 27秒 5秒
HDD 46秒 70秒 7秒

使用条件については詳しく述べられてはいなものの、SSHDはHDDとSSDのほぼ中間のパフォーマンスを出している事が分かる。

OSの再起動においてはSSDに迫る性能を見せているが、OSを起動したばかりのため、起動のために必要なデータがSSDに残り、再起動時により高速になったものだと予想でき、キャッシュを使う特性からも理解できる。

HDDの速度ではやや不満という人におすすめ

SSHDのコストはHDDと比べると3割増しといった具合であるが、SSDと比べると遥かに安いコストで大容量が実現できる。

おすすめしたいユーザーとしては、今までのHDDで特に不満はないが、色を付けて少し速くしたいユーザーである。

SSDの速度に慣れてしまった人にとっては今更戻る気は起きないであろう。

SSHD以外の選択肢は?

次にSSHDと比較をして迷うであろう選択肢を上げていく。ここでは合計で2TB程度のストレージが必要となった場合を考える。

SSDとHDDの組み合わせ

まずSSHDの比較に上がるものが256GB程度の少量のSSDと2TBのHDDを組合わせるケースである。

OSをSSDにインストールしておけば常に高速で動作し、使用頻度の低いファイルをHDDに移すことで容量も確保できる。

販売されているパソコンはこの形態で組まれているものが多く、自分でSSDとHDDを購入して組み立てる必要もない。

この構成の場合、SSDとHDDを合わせてSSHDと同じ価格になるため、主流がSSHDではなく、SSDとHDDの組み合わせに向くのは当然といえば当然の話である。

一方で定期的にファイルをSSDからHDDへ移す必要があり、 何をSSDに残し、何をHDDに残すかで迷うことがある。

このゲームはファイル容量は大きいけれども頻繁にアクセスするからSSDの領域においておこう、とか、SSDの容量が足りなくなってきて大きなサイズのアプリケーションがインストールできないのだがどうしようか?などと迷うことになる。

ここで思考する時間を取られているのならば返って一択のSSHDの方が良いのではないかと思うことがある。

OptaneメモリーとHDDの組み合わせ

Optaneメモリー

次にOptaneメモリーをHDDのキャッシュとして使うという方法がある。Optaneメモリーとは電源を落としたらデータが消える(揮発性のある)メモリーモジュールとは異なり、不揮発性を持つメモリである。SSDやHDDも同様に不揮発性である。

SSDやUSBのようなNAND型フラッシュメモリやHDDの磁気記憶とは異なる方式である3D Xpointという技術が使われている。インテルとマイクロンの共同で開発された。

キャッシュとしての用途であるため、初回起動が遅い点はSSHDと同じである。

16GBからOptaneメモリーが発売されているが、Optane 16GBと2TB HDDの組み合わせと2TBのSSHDはほぼ同等の価格となる。

16GBとSSHDのSSDよりも容量が大きく、かつ高速であるため、明らかにSSHDよりも優れている。

ただ注意点として、M.2ソケットをサポートしていること、Windows 10以降であること、AMDのCPUが搭載されている場合は使えないなど制約は多いので注意が必要。

Optaneが使える場合は正直SSHDを選ぶ理由は無いと言える。

SSHDまとめ

SSHDはSSDをキャッシュとして使うHDDであり、性能はSSDとHDDの中間程度のパフォーマンスであり、安価で高い性能が期待できる。

一方でSSDとHDDの組み合わせやOptaneメモリーをキャッシュとして使う方法などがSSHDに代わる主流となっており、SSHDを使用する機会はほぼ無くなったと言っても良い

ただ、複数のモジュールをパソコンに取り付ける必要が無くSSHDをパソコンに挿すだけで認識してくれるので組み立ての敷居は非常に低く、OSやCPUによる制約も無いため気軽に購入でき、高速化を実現できることはメリットである。

安価で購入できる機会があった場合はHDDより高速な手段として導入するのは無きにしも非ずといったところ。

またOptaneが使えず、SSDとHDDを組み合わせることができないゲーム機への用途ではまだまだ現役である。換装して高速化を図ると良いだろう。