配当はどの程度が良いのか

企業が利益を得て、株主に還元する直接的な方法が配当である。2%程度の配当を実施する企業が多く、配当が大きい企業は人気のある株となっている。日本株は配当が少ないと昔から言われてきているが、企業側の意識が配当を重視する方向に傾き始め、今後も配当額は増えていく傾向になりつつある。この配当額を見ることによってある程度現在の会社の状況を把握する事ができる。

まず基本的なところからだが、株には株価そのものの上昇によって利益を得るキャピタルゲインと、配当による収入のインカムゲインがある。同じ利益を得ている会社であってもキャピタルゲインを重視する会社と、インカムゲインを重視する会社がある。この違いは今後企業にとっての成長投資があるかどうかで決まる。即ち、成長機会があるのであれば企業は設備投資を行い、さらに業績拡大させようとする一方、儲かってはいるが成長機会に乏しい企業の場合はキャピタルゲインで報いるよりも配当として報いる場合が多い。上場して間もないベンチャー企業などは株主配当を配るぐらいならばより業績を拡大しようと勤める事が普通であるので配当がない企業が多い。一方で成熟産業でシェアナンバーワンのような企業は配当を重視して株主に報いようとする。どちらがより株主としてこのスタンスの違いを理解した上で株式投資を行う事はまず重要である。配当が多い株を単純に選んでいるだけでは良い投資とは言えない。

次に配当額を増やす増配を発表した時には株価がどうなるかを考える。配当額が増えたところで、配当を配り終えた後にはその分株価が下がってしまう、即ちインカムゲインの増加分だけキャピタルゲインが減少することになるので理論的には増配を発表したところで株価は変わらない。ところが増配を発表した企業は株価が上昇し、減配を発表した企業は株価が間違いなく下落するのである。何故か?一つには現金を蓄えて有効活用ができていない企業の場合は、その現金の使い道として成長投資が最も良いと思われるが、眠らせておくぐらいならば還元した方が価値があると思う株主が多いためである。もう一つは増配できるという事は企業は経営に自信があるという事を示す一つのシグナルとなるからである。逆に減配を行うと、企業業績の見通しが暗くなったとみなされて株価が下がってしまう。このことを考慮すると、現金を多く保有するものの、株主還元にあまり積極的ではない企業は今後株主還元策を強化したときに株価が値上がりする可能性がある。また、逆に純利益以上に株主配当を行っている会社もあり、そのような会社は資金が年々減少している状態なので注意した方が良い。そのうちに減配が発表されて株価が暴落する危険性があるからである。また、自社株買いも配当と同様に理論的には自社の株式を購入するが資金が失われるため株価には影響しないが、株主還元の姿勢及び、自社株が現在低いと思っているため実施されることが多く、企業の自信を示すものとして株価が上昇する事が多い。

配当はどの程度が良いのかは産業や会社規模によっても変わるが、まとめると、売り上げが伸びているベンチャー企業は不要、成熟産業では配当が純利益を上回っているようであるなら要注意、利益が出ているのに配当が少ない企業(配当性向が低い企業)は今後増配に伴う株価上昇の余地ありと言える。